不動明王の意味

右手には迷いや弱い心など邪悪な心を断ち切ってくれる利剣を持ち、左手には人々の煩悩を縛って封じ正しき道へと導くための羂索（けんさく）と呼ばれる綱を持っています。
また背中には燃え盛る火焔の炎が描かれる事が多いです。
これは煩悩を焼き尽くす炎、不浄なものを焼き清める炎と言われています。

不動明王の不動とは人々を救う「動かざる」、「揺るぎない」、「迷いがない」固いさとりの心を意味します。

どうしても人間は楽な方へと流れがちです。
嫌なこと、辛い事、きつい事から逃げ出したいと思うのは人間の本能です。
ですが、人の成長には困難や試練が付き物です。
逆境に立ち向かう勇気や忍耐力を持ち、厳しい状況を乗り越えてこそ真の成長が望めるはずです。
不動明王の様にどんな事にも動じずに正しき道を進むと言う意味を込めて、不動明王のタトゥーデザインが選ばれているのかも知れません。

不動明王はなぜ怒った顔をしているの？

不動明王の仏像や仏画は怒った顔をしています。
その恐ろしい顔は人々を救ってくれる様には思えませんが、どうして怒った顔なのでしょうか？
この怒った顔にもちゃんと意味があります。

右眼で天を、左眼で地を睨む天地眼で、右の牙を上に、左の牙を下にして唇を噛むこのお顔は「忿怒相（ふんぬそう）」と呼ばれます。
これは、全ての障害を打ち砕き、全ての災魔を降伏させ、おとなしく仏道に従わない者に対して、力ずくにでもなんとか救済しようとする為にこの様なお顔をしているのだそうです。
怒っているのではなく、叱ってくれているのだそうです。
叱るとは「相手の非を指摘、説明し、きびしく注意を与える意。」とされます。
怒るとは「腹をたてる。興奮して気を荒だてる。」となり、叱ると怒るでは意味が異なります。
不動明王は人々の為を想い、厳しくも優しい深い慈悲に満ちているのです。