太陽のタトゥーの意味とは？

タトゥーデザインとして太陽は色々なスタイルで彫られ、自然に関するモチーフの中でも5本の指に入るほどとてもシンボリックな柄として世界的に認識されています。

太陽は地球に住む私たちにとって、なくてはならない存在です。
新しい一日の始まりであり、暗闇に光をもたらし、成長や変化を意味します。
太陽がなければ、人間は生活していく事ができません。
その為に太陽は日本だけに限らず、世界的に古代から太陽神として擬人化して描かれ、崇められ、スピリチュアルなシンボルとして古くから用いられてきました。

様々な古代文明での神話や伝説では、それぞれにこの世の始まりやこの世の終わりが太陽と関係して描かれています。
毎日繰り返し太陽が昇り沈んでいく事は、人間が生まれて死んでいく事、生まれ変わりなどになぞらえて表現されます。

太陽信仰とは？

太陽は男性を表し、月は女性を表すと言う文化も多いです。
ギリシャ神話やエジプト神話では太陽は男神で月は女神であるとされ、対照的な二つとして信仰されてきました。
ギリシャ神話に登場する「ヘーリオス」はギリシャ語で「太陽」を意味する通り、太陽神とされ、古代ギリシャ人達はヘーリオスが乗る4頭からなる馬車は太陽そのものと信じていたのだそうです。
エジプト神話に登場する太陽神は「ラー」と言い、ハヤブサの頭を持ち、頭の上には王者を表す蛇が太陽を表す玉に巻きついたものを載せた姿で描かれます。
エジプト語では太陽の事を「Ra（ラー）」と呼び、太陽神「ラー」は太陽そのものであり、太陽が東から昇り、西へ沈む様に、ラーも姿を変え、日の出の時は、フンコロガシの頭を持つ男性の姿で現れ（フンコロガシが糞を丸めて転がす姿が太陽の動きに似ているとされる為）、昼間はハヤブサの姿で天空を飛び、夜は雄羊の姿で夜の船に乗り地下の死の世界を航行すると考えられていました。
主として農業を行うエジプトの人々にとって、太陽はとても大切な存在であり、太陽神である「ラー」に祈りを捧げ、現在でも一部の農村では太陽神への祭儀が続けられているのだそうです。

太陽信仰のあまりない中国でも全てのものを陰と陽に分類する陰陽思想では、太陽の属する陽は男性、月の属する陰は女性、とされています。
反対にノルウェーやスウェーデンなどに伝わる北欧神話では太陽は女神、月は男神となっています。

日本の神話でも太陽を神格化した神である天照大神（アマテラスオオミノカミ）は女性とされています。
天照大神が天岩戸に隠れてしまって、世界が真っ暗になった伝説はご存知でしょうか？
その昔、天照大神の弟である須佐之男命（スサノヲノミコト）は、海原（海の国）を治める様に父親である伊邪那岐命（イザナキノミコト）に命じられますが、母親である伊邪那美命（イザナミノミコト）のいる黄泉の国に行きたいと泣いてばかりいた為、スサノヲを追放しました。

追放されたスサノヲは黄泉の国に行く前に姉の天照大神に会いに行こうとするのですが、スサノヲの荒々しさに自分の住んでいる高天原を奪いに来たと勘違いした天照大神は、スサノヲを武装して待ち受けました。
スサノヲは自分の身の潔白を証明する誓約をして、見事受け入れられたと思い込み、また乱暴を繰り返した為、怒った天照大神は天岩戸に籠ってしまい、太陽神である天照大神が隠れてしまった為に世界が真っ暗闇になってしまいました。
真っ暗になった世の中には、悪い神々が現れ、様々な恐ろしい災いが起こります。
困った神々たちは何とかして天照大神を天岩戸から出てきてもらおうと相談し、『岩戸の前で楽しそうに踊ったり、歌ったりすれば天照大神が興味を持って覗くのではないか？』と良い案が出されました。
神々が踊り、踊る神々にまた笑いが生まれ、集められた沢山の鶏が声高らかに鳴き、天照大神は『自分が岩戸に籠って暗闇の世界なのに、どうしてみんながそんなに楽しそうにしているのか？』と尋ねたところ『天照大神よりも尊い神が現れたからだ』と言って鏡を差し出され、そこに映っている自分の姿をもっと良く見ようとして岩戸を開けたところを引きずり出し、元に戻ってしまわない様に岩戸を投げ捨て、世界が明るくなり、悪い神も去っていったのだそうです。そして、悪さをしたスサノヲは高天原から追放されました。

私たちにとって何も見えない闇は恐怖であり、暖かな光を与えてくれる太陽を崇めてきた古くからの文化はとても理解できます。
この様な太陽信仰が現在でも根強くあり、Tattooのモチーフとしても世界的に人気がある理由なのかもしれません。

空に輝く太陽はネイティブアメリカン達にとって全てを作り出した創造主であり、力や豊穣や癒しと言った意味があるそうです。
ネイティブアメリカンが行うサンダンスと呼ばれる儀式があります。
太陽の精霊に自然との調和や平和への願いを込めて祈りを捧げます。
スー族では4日間飲まず食わずで日の出から日の入りまで絶水絶食で踊り続け、最終日にはボディサスペンションの様なピアシング（両胸に鷲の骨などを刺して体を吊るす）をして、肉が切れて下に落ちると苦行が成就するのだそうです。

当タトゥースタジオのある大阪には、芸術家の岡本太郎氏作の「太陽の塔」があり、大阪のシンボルとなっています。
「太陽の塔のタトゥーデザイン」を描き、まつわる話を紹介しています。こちらもチェックしてみて下さい。

太陽にちなんだ言葉

天道様はお見通し：お天道様と言うのは太陽の事または太陽神の事を指し、この世の隅々までを明るく照らす太陽はどんなに小さく些細な事でも全て見えているので、神の前では悪い事は出来ないと言う意味になります。

太陽と北風：これは諺ではなく、イソップ童話なのですが、北風と太陽が、どちらが旅人の上着を脱がせる事が出来るかを競う話です。北風は旅人の服が脱げる様にと力いっぱい風を吹きますが、反対に寒さに震えて上着をしっかりと押さえてしまいました。 太陽は燦々と輝き気温を上昇させ暑くなった旅人は自ら上着を脱ぎました。 無理やりに人を動かそうとしてもかえって頑なになる事もあるが、優しい言葉や態度によって人は心を開き自ら行動してくれると言った教訓なのだそうです。